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『ソラリス』(75点/100点満点中)

 死別してしまったがもう一度会いたい人間と、必ず再会できるような場所に偶然たどり着いてしまったとして、その場所から人はたったひとりで帰ることができるだろうか。それが現実ではないと知りながらその虚構と生きるか、それとも最愛の人物の不在を受け入れるか。あまりにも重い主題が、あまりにも美しい青紫色の惑星へと接近する宇宙船で繰り広げられる物語が本作『ソラリス』である。

 中年期の鬱病に自身も差し掛かりつつある銀髪の主人公の精神科医は、ジョージ・クルーニーである。
 宇宙探査に向かった宇宙船が全く帰還してこないのでどうなっているか代行調査をしてくれないかいう依頼を、彼は引き受ける。そうして向かった、ソラリスという惑星近くを遊泳していた宇宙船に入ると、そこには死体が二体。床には何者かの血痕がある。
 宇宙船に残された生存している乗員は、自分が殺した訳ではない、気づいたらそうなっていたのだと話す。さらに話を聞けば「おまえもじきに分かる」という答えばかりだ。
 真相は不明のまま、宇宙船の一室で眠りに付いた頃、彼の隣には死んだはずの彼の妻が立っていた。
 そうして、久しぶりね、と言うのであった。

 くたびれきった大人の役がなにより似合う、私の中では永代世界一セクシーな男ジョージ・クルーニーは、それが嘘と知りながらもその妻とキスをする。
 この甘すぎる幻想は、喪失した現実をたった一人で生きようとしてきた主人公の心的強度を一瞬にして骨折させてしまう。
 好きでもない世界と愛してやまない亡霊となら、後者と生きたいに決まってるのだ。
 そしてこの映画は、最愛の者が死んだ後に当人はどう生きるべきかという結論を大変美しく描く。

 完全な鬱映画である。が、監督の品の良い映像構図や、青とも赤とも付かずにぼんやり光る惑星は夢のように美しい。なぜそんな幻想を見てしまうのか。幻想自体には幻想としての自覚があるのか。その幻想を生成する惑星自体の本当の目的はなにか。と、SFミステリーとしても一級だが、恋愛映画としても成立している。
 この映画を見た後にはたぶんお互いの身体で遊びたいとは到底思えないのでデートで見るには少しキツイかもしれない。
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