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『下妻物語』(85点/100点満点中)

 多くの日本人は死ぬまで下妻に行くことはないだろうし下妻物語という日本屈指の友情映画を見た日には、そのあまりのクオリティからやはりまた下妻に行こうとは思えない。
 昼休みにはクッキーとキャンディを食べ、週末には金髪でロリータ服を決め込んだ女子高生の深キョンが主演である。その父は暴力団のチンピラでありその母は不倫を繰り返すろくでなしであり、兄弟姉妹もいない彼女は、何時間もかけて原宿のロリータのブランド服を買うのが何よりも楽しみ。
 
 痛々しさも堂々としていたら痛々しくない。服のための金のためなら、涙もろい父親にどんな嘘も築く。
 茨城県の奥地にいる、マリーアントワネット風のサイコパス乙女である。

 そんなアントワネットに絡む登場人物は、それ以上に個性的だ。
 ガムをくちゃくちゃ噛みながら贋物ベルサーチのジャケットを羽織り原付を乗り回す暴走族の土屋アンナは、直情径行、刹那的、そしてなにより尾崎を聴くと涙する最高のオトコ女である。
 見れば見るほどに可愛い。告白されたいくらいに可愛い。

 どちらも田舎が生んだ、極彩色の病なのだ。
 すべてを同質化しようとするイオンモールに頑として反逆する、地元の狂った女たちなのである。

そんな可愛らしいふたりは、無数回の衝突と喧嘩を繰り返す。互いのばかばかしい論理を、それでもなるべく尊重しようとする成長過程には、ただならない説得力がある。極端に生きるがゆえに、妥協案はないが、それでも互いの極端さを理解し許しあえる。どこからどう見ても違うふたりは、どうしようもなく似ているのである。

 やがて事件が起き、土屋アンナは窮地に立たされる。
 その時に振る舞う深キョンの吐く啖呵、豹変ぶりは、深キョンが見た目だけの女ではない、絶対的女優の証明シーンである。私はこれでやっと深キョンを好きになれた。

 どうしようもない人を描いているのに、どうしようもなく愛おしい映画になっている。なるべく若い頃に見たかった。
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