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『ハードロマンチッカー』(75点/100点満点中)

 フェラチオシーンから始まる本作は、極道映画ファン以外をターゲットに見据えた、数年に一度出てくる暴力に塗れた邦画である。ヒリヒリする感じがたまらない。徹底的にナンセンスな脚本と、突き放したような暴力描写が続く。これまで愛情一杯に育てられてきたような人によって一瞬で駄作と断じられるが、私は決してそうは思いませんと守りたくなるような邦画の登場である。

 主人公・松田翔太は金髪のオールバックに、タイトな黒色のコートを纏って街を徘徊する、喧嘩っ早い男である。
 借した金が帰ってこないという理由だけで、全く関係のない友人を殴り飛ばし、全く関係のない人間にガンを飛ばし、全く関係のない人物を蹴り飛ばしてはカツアゲし、全く関係のない人物の名を騙る。松田翔太はそれをどうやって覚えたのか、日本で一番かっこいい乱暴な原付の運転をするのだが、DNAがかっこいいのでどんなことをしてもこの映画ではかっこよく映る。
 金を借し渡した本人はもう殺人犯として捕まっているのに、そんなことは彼にとっては知ったこっちゃない。

 監督の作品の暴力描写には、北野作品とは違い、独特の質感がある。
 韓国の血が流れた監督が日本で受けた被差別と暴力は、おそらくそのまま暴力で返却するしかなかった。

 この主人公も、全てのアウトプットを暴力を通してしか表現できない。たとえ目の前の友人や、好きな女に対しても、だ。話し合いなんて選択は最初から存在しないのである。

 そんな彼は行く先々で、一日一善かのごとく暴力沙汰を起こす。
 しかしその暴力は、いま目の前で行われようとしている不正が気に食わないという、極私的な憤怒からである。そしてその相手がたとえ暴走族だろうが暴力団まがいであろうが売春婦の女子高生であろうが関係ない。相手が弱い強いも関係ない。全く新しい性質の暴力である。その暴力の公平性や聖人的性質は、あたかもキリストかソクラテスのそれを見るかのようなのである。

 そんなこんなで彼は瞬く間に街一つの全ての界隈を敵に回す。
 それに鉄の棒一本で向かうハードでロマンチックな展開はゾクゾクする。
 松田龍平よりもさらにニヒルな冷たい暴力を受ける彼を羨ましいと感じる男もいるだろう。

 あくまで良い、邦画である。
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