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『ワン・デイ 23年のラブストーリー』(75点/100点満点中)

 互いの見た目に惚れてしまった限り、男女の友情は永久に成立し得ない。
 そうしてセックスをすると、あるいはしてしまうと、もう二度とそうなる前には戻れない。

 ふたりは確実にいつか別れることになる。それを乗り越えて、あるいはそうして燃え尽きて初めて男女の友情は成立する。あるいはまた、絶対的な不成立を迎えることになる。そこにはもう身体の関係の有無は関係ないのだ。それが幸福か不幸かに関わらず。

 上記が現実としたならば、この上の一個でも無視するとそれはフィクション、つまり恋愛映画になる。
 そしてそれが真実性を獲得することができたならば、多くの場合それは名作となる。
 そしてこの映画はその名作中の名作と言える。

 主人公であるアン・ハサウェイは、大学卒業の夜、ずっと憧れていた派手な同期の男に口説かれる。
 その夜、部屋に連れ込んだ男とまさにそうなるかならないかというところで、男が先に眠りについてしまったことでついぞ身体の関係を持つことはなかった。

 しかし、いや、であるからこそ、それから二十三年間、互いは付かず離れず、女と男として遭遇する全ての幸福と不幸を共に味わうことになる。

 完璧な脚本、そして完璧なセリフが満載の傑作である。

 「愛してるけど、もう好きじゃない」とアンが泣き叫ぶシーンなどは、この時間軸を持った映画でないと出てこなかったセリフである。

 しかもそれでいて恋愛映画らしくない。
 ふたりは当たり前の幸せを常に掴むことができない。でもそれが普通ではないか。我々と同じように彼らの人生動線には甘ったるい展開が用意されていない。起こらないで欲しいことばかりが起こり続ける。恋愛映画では捨象されがちな肉親からの不理解、母の死、仕事の挫折、私生活の堕落、浮気、不倫。
 それらのすべてを詰め込んで、世間知らずなふたりは見る見る大人になっていく。
 そしてその友情もその年齢と共に熟していくのである。

 いまや若手女優で不動の地位を築いたアン・ハサウェイの初期作品は、彼女の「絶対あたしは売れてやる」という野望が剥き出しであった。その野望のためならどんなことをするのも厭わない彼女の度胸剥き出しの、そしてその度胸が大いに空回りした駄作ばかりであった。だが、その決定的な転機となった作品がこれである。

 初恋が破れた直後に見ればよかったと思える映画である。

 恋愛映画は多い。が、それでも我々は別に恋愛がしたいわけではない。
 ただ一人の好きな人と、隣で並んで歩きたいと思うことがいかに難しいかを友情を通して描く、恋愛映画が本作だ。
 
 鑑賞はなるべく早い方がいい。自分の恋愛偏差値を間違いなく10以上上げてくれるそんな映画である。
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