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『リアル鬼ごっこ』(50点/100点満点中)

 歌舞伎町のドンキホーテでナースのコスプレ服とゾンビのコスプレ服をなんとなく見た後、なんとなく風俗店の看板を見ながら家に帰ったその日の夜、総合病院でナースの格好をしたゾンビに襲われて逃げ場がないが実はそのゾンビは風俗嬢だったという夢を見たことがある。襲われて逃げたのにゾンビがお会計を求めてきたので、このゾンビが風俗嬢だと知ったのである。ちなみに私は私のテントウムシくらいの小さな名誉に掛けていうが、風俗には行ったことがない。金を払うと勃たないからである。
 「シュールレアリスムとは夢の自動筆記である」とはシュールレアリスムのなんか偉い人の言葉だが、夢は思うに「意識下で処理しない(もしくはできない)ままに無意識下でなんの処理も加えなかった情報たちが組み合わさって物語化された何か」だと思う。友人にも確かめたが、怖い夢は全く同じ内容のまま一年に一度、そして何年も見ていることが多いらしい。

 本作は、女子高生が走って逃げる過程で死にまくるという意味で原作通りではある。
 しかし夢のようなばっきばきのシュールレアリスムを入れてきたため、公開時大不評を買った映画である。

 もちろん監督にとっての夢とは、綺麗でかわいい女の子が、血まみれで風俗的な世間と戦う絵のことである。

 修学旅行バスが真っ二つに割れて、総勢七十人くらいの女子高生が開始五分で胴体真っ二つになる。映画『バトルロワイヤル』には負けませんよ、という宣戦布告である。もし転んで膝に大怪我でもしたら賠償金がやばいことになりそうなトリンドル玲奈が、明らかにこれまで走りこんだことはありませんというような風情で転んで膝に大怪我をしそうな雪山の道を走っていく。なぜクラスメートが真っ二つになったのか分からないまま逃げ込んだ高校では、なぜか自分は違う名前で呼ばれ、そこのクラスメートには記憶喪失にでもなったのと笑われてしまう。

 極端に難解で解釈可能性を許す物語、たとえば『不思議の国のアリス』はその解釈だけで論文が万単位で作られてしまう児童文学だが、この映画もそのくらいの難解さがある。だがたぶん論文は作られることはない。
 胴体真っ二つも、マシンガンも、篠田麻里子も出てくる、派手さとアホらしさは痛快。しかしそれでも非常に悪い意味で難解だ。私は本作を、しかし監督なりの、女への哀歌だと捉えた。どれだけ走っても居場所を変えても年齢が変わっても環境を変えても、まったく別の不幸が地獄のように主人公、というより一人の女を襲ってくる。女子高生がターゲットにしてはあまりにこねくり回されているが、「鬱陶しい女はやばいくらいいるし、斉藤工みたいなイケメンにして相当やばそうな男とかもいて、人生はもうめちゃくちゃ不条理で大変なものなんだけど、なんか口で説明してもなんだと思うし、俺には映画っていう土俵があるし、ついでにトリンドル玲奈と篠田麻里子はめちゃくちゃにしたかったから、とりあえず絵で見せるわ」という監督の歪んだ愛がばしばし伝わってくる。そんな虚しい人生への、派手な哀歌のようであった。ただし難解すぎるので、この点数である。
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