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『スーサイド・スクワッド』(25点/100点満点中)

 映画館にいると、あ、いま、観客がこの映画を諦めたな、という空気感を肌で感じる時がある。あの感触はいつも面白い。面白いのだが、つまりそれは残された上映時間中、もうずっとその映画がやばいということである。そしてその映画がやばいという話をしなければ投資した分の損失は到底回収できないということでもある。
 本作は、往年のアメコミの悪役が政府のとっても怖くて悪いオバサンによって減刑を取引条件に、さらにもっと怖くて悪い奴のところに派遣されドンパチやって頂きましょうというブラック企業的な映画である。『バトルロワイヤル』のように悪役には首に爆弾が仕掛けられ、逃げようものなら爆破するぞと現場監督の軍人が悪役を脅す。その軍人ですら政府高官のオバサンによって脅されている。実質無給無休、残業手当などもなく、成果報酬も少ない。ブラック企業的な映画と書いた。ブラック企業諷刺的な映画とは書いてない。つまりそういうことである。そのまんまブラック企業。そのまんま和民。そのまんまなんか働いたしなんとなくハッピーになりてえな、と悪役が言っている。いや、わかる。気持ちはわかるんだ。でもそうじゃない。悪は悪でいてほしい。もうなに言うてくれとんねんという感じである。ただでさえ泣ける社会で、スカッとしたくて見た映画に、特に爽快な場面が用意されていないとなると、『号泣する準備はできていた』的な状態にならざるを得ない。
 映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でビッチな金髪婦人を演じたマーゴット・ロビーは、ジョーカーの相手役としてただただケタケタと笑いながら金属バットを振り回すところが可愛くて素晴らしい。こういう人になら殴り殺されてもいいやと思えるので、絶妙に敵がうらやましくなってくる。どことなく土屋アンナを連想させるカーラ・デルヴィーニュもくねくねしながらもなんかキモいくらい強い。なんでこんなにキモいのか、どうしてそんなにキモいことにならないといけなかったのか、忘れてしまうくらい他の悪役は魅力がない。この映画はもうこのふたりの顔と身体しか見るべきところがないのだ。しかし誰もそんなに脱がない。一度脱いだ人は二度と脱がなくなる。
 来年公開のDC映画はこの『スーサイド・スクワッド』への反省からか、バットマンがまた新たな団体を作るらしい。『ダークナイト』以降の不作を訴える鑑賞後の観客にビールの一杯でも奢りたい気持ちになった。悪とは、なにかを考えた。この映画は悪者たちを銘打ち全面に出しながら悪者は悪者ではないと言いたかったのかもしれない。しかし見たいものはそれではない。なにが正義かもわからないが、なにが悪かは分かっていて、それでも平然とその悪を行使する悪が見たいのだ。そしてその悪が一同に集まるとどうなるか。その限界が、その映画文法的な帰結が本作だったとはまだ思いたくない。
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