スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『SCOOP!』(65点/100点満点中)

 わざわざ数えたことはない。しかし過去の人類史を見渡し最も売上を記録した本のジャンル、そして昨今のテレビで最も時間をかけて流されているニュースの内容は、不倫に関するものではないかと思うことがある。現にGoogleの検索ワードの永久一位はセックスだそうだ。活版印刷も、色彩表現精度も、情報検索精度も、下半身への関心から大きく発展してきたのだと私は固く信じている。

 そんな下半身のささやかな関心を毎週のように支えてきたのが、週刊誌だろう。
 週刊誌は明らかにこの世で最もエグくて下品なもののひとつである。が、なんだかんだ、他人がそれぞれの不倫やらセックスやら交際やら離婚やらにどうコメントするかによって本人の倫理観や恋愛観が透けて見える、不思議な触媒でもある。ベッキーは好き勝手やればよい、と言い切る人は、なんだかんだ好き勝手やっていきたい人なのである。なにかとなにかを言いやすすぎるからあんなに売れるのだろう。ちなみに私はゲスの極み乙女のボーカルが音楽がどうかとかまったく関係なく、あの存在が好きである。浮名は流してなんぼだと思いますよ。

 そして本作はそんなスキャンダル誌のカメラマンが主演に置かれた映画である。

 冒頭、福山雅治のセックスシーンから始まり、それから福山雅治は三十秒に一回セクハラか下ネタをへらへらと言い続ける。そして仕事は大真面目にやる。パパラッチは眠ったら対象を見逃す探偵と実質同じだが、問題は、被写体がどこにいるかは分からないということである。探すしかないのだ。
 そんな仕事でもセクハラと下ネタでなんとか乗り切ろうとする福山雅治は、かつての深夜のラジオ番組そのままのノリで、中年の限界をどこかで感じている。これはつまり福山雅治がとっても苦手な私のような人に向けても優しく作られた映画だということである。
 そうしてこちらの倫理観がポップに破壊されていく中、アシスタントに二階堂ふみを付けたことにより、二人はより話題性の高い被写体を狙うことになる。しかし最後の被写体は二人にとって最悪の被写体となってしまう。

 取っ付きやすい『ナイトクローラー』の日本版のようである。
 それでいて出版業界の直面してる問題をかなり真面目に描いている。男らしさやマッチョイズムは廃れていく中、グラビアを表紙にしても売れない。いつまでもグラビアには頼れない。しかしグラビアを使えばモデル事務所からの一定の売上が入る。切っても切れない縁に踏ん切りがつかないという流れはなるほどなと思った。おっぱいは経済的ではないのである。
 そんなマッチョイズムの現場で戦う女編集長の吉田羊はかっこいい。スキャンダルがただの民事的話題ならば、殺人犯のその後を追う部門を刑事部門と呼ぶらしい。その刑事部門をやりたいのに、乳と尻を見せるべきだという同僚の男の意見がある。編集会議のシーンはとっても面白い。単なる女と男の戦いに見せて、知性と反知性の戦いに見せて、もっと普遍的な話をこの映画はしているのだ。
 行き過ぎた関心の先、最後は、人は死なねばならぬ。その死を誌内で扱うべきか扱わざるべきか、週刊誌の編集者同士が怒鳴り合うシーンも素敵だ。ひとつの雑誌を売る楽しさが、この時代に生きていても、こんなにも伝わってくる。『モテキ』はめちゃくちゃ楽しい童貞の話だったが、この映画はめちゃくちゃ楽しい仕事の話でもある。

 なんだかんだ脚本の不備、キャラの描きこまれてなさは、しかし福山雅治の愛嬌で乗り切れそうな感じがしていた映画であった。映画で出版の話をするというのも、そもそもとても勇気のいることかもしれない。友達とワイワイ見に行って、裏の話に少し詳しくなるにはちょうどいい映画なのかもしれない。ちなみにこの映画で一番良いのは、リリー・フランキーであると公開前から聴いていたものの、あんなことになるとはちっとも思っていなかった。
スポンサーサイト

Profile

F

Author:F
Mail:gokushitekimovie@gmail.com

最新記事

検索フォーム

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。