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『リップヴァンウィンクルの花嫁』(40点/100点満点中)

 黒木華はどこにでもいそうな感じがする。が、よくよく見るとぜんぜんどこにもいない感じもする。
 どこにでもいそうなフリをこれまで彼女が散々してきたからなのだろうか。彼女も自分自身に、私はどこにでもいそうな感じである、と一度は思ったはずである。しかし結果的に、どこにもいない感じになっている。
 動くとなにか違うなと思わされる。黙ってたらただめちゃくちゃに人生に疲れてそうな顔をしている。そうして色気を持て余している。一言でいえば、なんかやばい感じなのである。
 そんな黒木華を三時間ぶっ通しで撮り続けたらめちゃ最高なんじゃねえの、透明感ぶち上げちゃうことになるんじゃねえの、が、『リップヴァンウィンクルの花嫁』の企画の骨子だと私は思う。そしてそれは岩井俊二だからできた。黒木華の名刺を岩井俊二が作るとこうなる、いう映画である。

 主人公は善人である。
 善人であるあまり、どんな修羅場に居合わせても言い訳もできなければ喧嘩もできない。
 友達はいない。兄弟姉妹もいない。非常勤講師。生徒からは尊敬されていない。そうしてSNSで知り合った恋人と結婚はしたものの、夫は即刻浮気してしまう。
 離婚して無一文となり、街に飛び出た先で黒木華が経験する、乙女チックなあれこれの映像が本作である。

 幸福のルートから吹き飛ばされた一人の女の話。
 SNS、偽装夫婦、サクラの結婚参列者、AV。大真面目に淡い嘘を吐き、その嘘も人のためと信じていたのに、その嘘がすべて仇となって返ってくる。当たり前の幸せを手に入れられない。そうして彼女は、嘘を吐くのではなく、嘘それ自体になることを選ぶ。そして嘘の界隈で、楽しそうに暮らす人と触れ合ううちに、より身軽になっていくのである。淡い映像に、深い、依怙地で独我論的な諦観と享楽主義がファジーに漂っていて、まさに岩井風の風情である。
 これは最初の不幸である離婚、それ以後のファンタジー劇である。

 絵本を読むような感覚に近い。ただ、やっぱりなんか早送りしたい感じがした。
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