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『バーレスク』(95点/100点満点中)

 死にたいと思いながらディズニーランドに行く人はいない。が、ディズニーランドは死にたい人が行くべき思想設計のはずである。あれはアンチの私がどういおうが、現実に置いてある人工天国なのである。
 ディズニーランドですべてが悪魔に見える妄想に駆られてディズニーランドで死んでしまうような男の映画があったが、それはともかく、ところでミュージカル映画への印象も、それに陥りがちである。「不幸な時に見ると付いていけなさそうなハッピー感」に牽制してしまう人もいるかもしれない。が、本作『バーレスク』の豪華絢爛な演出と退廃的な舞台設計は不幸な時に見ても幸福な時に見ても素晴らしい。どうやらこの映画の女はかっこいいらしい。という印象で手に取ると、めちゃくちゃかっこいい女がばんばん出てくる。女がただかっこよくあるためになにをどう動かせばいいか、という花魁的なテーマに徹底的に絞った映画である。とってもシンプルであるがゆえに、無数の駄作を産んだテーマであるが、この映画はそれに大成功した。

 まず主演のクリスティーナ・アギレラ自体は、ただそこにいるだけで不健康な雰囲気で、エロい。

 さらにそんな彼女が全篇で歌って踊って啖呵を吐く。
 ストーリーは極めて単純であるがゆえに、主演が可愛くないと美しくないと即刻駄作に陥るテーマが、全く駄作に陥らないのは、このボーカルがたとえばボーカルとして異常にブルース的・演歌的・ソウル的・ジャズ的、要は女神的なのである。なにをどうしたらあんなに低い声と高い声が出てくるのか、全く分からないおよそデビリッシュな存在が、ただそのまま天才的な才能を発揮していくとっても痛快な映画なのである。
 
 田舎を飛び出し、都会のバーレスクという限りなくストリップに近い、しかし決して男に媚びない女たちが舞台で踊る酒場にアギレラは惚れ込み、さっそくそこで働こうと決意する。自分の才能は自覚しているのに、支配人もダンサーも自分を認めようとせず、そんな環境で彼女は自分の持ち得るすべての才能で立ち向かう、というのが大筋だ。が、アギレラが天才であることは誰もが知っている。そうしてアギレラが一発歌ってやろうか、といって歌うシーンの爽快さはすごい。初めてアギレラのあの声を聴いた時の衝撃が、そのまま映画になっている。PVで見るよりはるかに派手。景気が良い。最高のバブルである。

 そんな劇中の衝撃から、そのままメイクの仕方も男の殺し方も知ったうえで、めちゃくちゃ可愛くなっていくアギレラが、めちゃくちゃ激しく踊りまくる。ダークトーンのかっこいいシンデレラストーリーの始まりである。これは室内デート映画としてはかなり危険なのかもしれない。まず男の目のやり場はなくなる。女は女としてどうあるべきかという考えに至るほどにアギレラはかっこいい。まずその晩セックスしようという雰囲気にはなれないはずだ。それくらいかっこいい映画だ。
 男はデニムとTシャツさえ着ていたらそれだけで成立する。もしくはスーツでも着ておけばいいのである。しかしはたして女はなにを着ていたら、あるいはなにを着なければ女として成立するのか、これに正解はない。だが、かっこいい女はやはりいるのである。その好例が、まさにミュージカル映画のような限りなく攻撃的で享楽的なジャンルで見られるのは思わぬ発見であった。
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