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『ランデヴー』(89点/100点満点中)

 パリには行ったことがない。だからパリは永久にパリのままだろう。フランス人がアメリカ人のようにスーパーマンを着想しなかったのは、街が余りに美し過ぎるからだと私は信じて疑わない。亡霊が似合うのも、あの古城とマンションと赤色の看板が映える本屋とが所狭しと隣り合う溜め息で作られたような都市ならではである。

 この映画は、八分しかない。

 そのパリの街をPOV視点で、高速カーがぶっ飛ばす。この車は、なにかに追われている訳でもなにかを追っている訳でもない。ただただ赤信号も無視し、おおよそ法定外の速度と思しき速度で、車体もタイヤを軋ませながら、夜明けの朧げな街を疾走するのである。
 この八分間、延々とそのぶっ飛ばすシーンが続く。いつこの車が横転するのか、スリップするのか、ダンプカーが飛び込んでくるのか、あるいは人か、もしくは真横から乗用車がぶつかってくるのか、おおよそそんな不安にとらわれ始めて猛烈な緊張を強いられる。しかしこの映画はそんな古臭い演出が市場に跋扈する、遥か昔に作られた映画だ。

 道交法をことごとく違反して、この法外な車が辿り着く最後の景色は、あらゆるカーチェイスものを瞬時に駄作に貶める最高の景色である。
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