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『恋の罪』(75点/100点満点中)

 真夜中の渋谷区円山町は謎が多い。そもそもクラブが先にできたのかラブホテルが先にできたのか。そもそもなぜクラブが駅から離れた位置にあえて密集したのか。そんな治安最悪の場所の真横に、松濤という都内屈指の高級住宅地がなぜ成立したか。その円山町で昼は東京電力で働いていた女が、夜、売春婦として殺されたことは平成生まれでもなんとなく知っていることでもある。円山町は渋谷区でもおそらく坂道が最も込み入っており、雨が降るとだらりとコンクリートが鈍い液体のように光り出す。

 騙されて引っ張り出されたアダルトビデオへの出演をきっかけに、小説家である夫の妻として、貞淑で従順な女を演じ切るのに限界を感じた主人公は、エッチな蟻地獄に嵌ったかのように無軌道な性行為を繰り返していく。
 本作は猛烈に捻じ曲がった監督なりの女性解放運動のようなものだ。どこからどう見ても数時間のアダルトビデオにしか見えないが、訴えたいことは、もっとエロいことして最果てに行こうぜ、というシンプルな、極めて善良なメッセージなのだ。
 監督の実際の嫁である主人公、そんな彼女よりも目立つのは、メイクをしなければフェミニストライクな大学教授なのにKATE風のメイクをしたら黒木メイサをはるかにしのぐ邪悪なオーラを放ち、ヤバいほど詩的で殴るようなセックスを繰り返すお姉さんである。愛してねえ奴とセックスしたならちゃんと金取れ、と叫ぶシーンはそれでいて男も女もビクッとさせる真理がある。ほんまそれ、である。そんなビジネススピリットを持ちながら、言葉なんか覚えるんじゃなかった、と教壇で散文詩を絶叫するシーンも、監督の存在を忘れて見れば、決して悪くないなにかである。シガニー・ウィーバーはエイリアンに出てそのキャリアを台無しにした。このメイサお姉さんも本作に出て、ゲラゲラ笑い、時には怒鳴りながらセックスをし、そのキャリアを全壊にしたのである。思想はどうあれその結果を思えば、なんども拝見しなければならない偉業を彼女は本作で達成したのである。
 ちなみにそのお姉さんの母親はもっとやべえ。お姉さんの母親が実は一番やべえがそんなことを詳述するほど人生は長くねえ。
 かくして主人公はセックスマシーンメイサの手荒い手ほどきを受け、言葉を叩き込まれ、そして言葉を奪われ、雄叫びをあげながらセックスをし、愛の果てまで光よりも速く向かっていく。ついでに水野美紀もオラオラ脱いでオラオラ浮気しオラオラセックスする。

 たぶん関係者の中でどう考えても監督がたぶん一番楽しんだだろうなという映画である。で、監督が一番楽しんだであろう映画は、割とこちらも楽しめる。

 この映画、女を描いた映画なので、女の感想の方がやはりリスクが高く、おもしろいのではないか。

 が、恐らく女が女を論評するのが非常に難しい事を監督は知ってて、あえて自分の出自をかなり淫らに、自覚的に曝け出して、女の淫らを撮ったような気がする。監督が嫌いな人間はまずこの映画は観ない。なんだかエロそうだから見ない、とか、なんだかエグそうだから見ない、とかいう層に一番見せるべき激しさのに、監督の名前がそうさせない、あるいはそうするにはかなり宣伝的な飛躍が必要であるというのは何とも皮肉な話である。
 
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