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『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(75点/100点満点中)

 美しい緑に輝くルーカス・フィルムのロゴが現れ、そこに"A long time ago,in a galaxy far,far away...."という水色の英文が当然のようにスクリーンに浮き上がったと同時に、公開初日だったその劇場は拍手喝采となった。これまで映画館に何百回と行ったが、そんな異様な光景は初めて目の当たりにすることである。私個人としてはその拍手で一気に興が醒めそうになったのだが、それだけに外国人観客も日本人観客も異常な集中力を注いで見るこの映画は、御祭騒ぎとしてはかなり真剣な部類に入るんだろう。とはいえ、歴代の作品ファンも、果たしてこれが作られる意義はあるのかないのか、ポップコーン映画なのかちゃんと意味のある映画なのか、異様な警戒感を持って臨んだに違いない。
 本作は、それでも見る価値があったと断言できるリリシズムに溢れている。
 惑星破壊兵器を帝国軍が完成させつつある中、エンジニアであった父親を帝国軍に引き抜かれ、母親を殺された一人の少女が、ならず者となって反乱軍にリクルートされる場面から始まる本作は、文字通り、ならず者の話であり、つまりこれまで延々と語られた、いかにも悪そうな帝国といかにも正しそうな反乱、という清廉な二項対立に物語構造を依拠させていない。主人公の女の子は、帝国も反乱も正直どうでもよく、自らの正義、つまりは親父がどっかに行ったしあたしの人生はもうどうにもならねえからとりあえずなんかをなんとかしてえ、という地下アイドルかラッパーのようなバイブスを貫通させることだけが行動規範にある。だから私軍を形成するのである。これがまず新しい。才能がどうこうとか運命がどうこうという話には全くならない。細かい面では、その流れからソードバトルも出てこない。フォースがどうとかこうとかの西洋的修練話も日本的忍び難きを忍びの話も最小限であり、いやむしろ、フォースというのは頭の狂ってる人が俺にはフォースがあるフォースがあるとブツブツ言っている概念的に無力で祈りのようなものへと葬送されている。であるからして、全編で繰り広げられるのは壮絶な肉弾戦であり、一騎打ちと言うより総力戦であり、語られるのは正義と言うより無情そのものである。
 なにより新しいのは、あるいはそもそもを考えてみればめちゃくちゃ新しかったのは、あの映画のポスターで顔見世されていた人間が、そういえばその前篇後編にも全然いないキャラクターたちばかりである、ということである。これがどういうことを意味するのか、本編がクライマックスを迎える時痛いほど分かってくるのだ。
 劇中、莫大な登場人物が新しい土地名と共に隅田川花火のように湧いて出てくるため、余程高速処理ができる頭でないとどこで誰がいまどこの誰のことを言っているのか、軽い混乱を来すほどの速さで物語は展開する。
 正直言って、もはや主人公の名前も思い出せないほどなのだが、この映画、登場人物の名前などあえてどうでもいいという設計の元で作られた節がある。なぜならシリーズ上、名前すら残らなかった者たちの、ハッピーエンドが決して用意されていないスター・ウォーズなのだから。
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