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『百円の恋』(98点/100点満点中)

 映画『百円の恋』の安藤サクラが最優秀女優賞を受賞するのは、当然のことだ。
 決して美しいとは言えない女が、全く美しくない女を演じ、そうして終盤最高に美しくなる。顔が腫れ上がってもう無茶苦茶なのに、である。これぞ映画だ女優だと全国の幼稚園の入園式で上映したくなるほど夢がある傑作。もう映画は綺麗な女なんて一人も出す必要がないことを安藤サクラが証明してしまった。ちなみに本作はR-15らしい。
 余談になるが、かつてあった死ぬ程怖い日本のショートショート映画で、控えめに言っても顔が恐ろしすぎる女性の幽霊が東京都心部の至る所に現れてはバンバン若者を呪い殺す映画があった。私はその幽霊を失礼ながら、安藤サクラが演じていたと思っていた、ら、違った。全然安藤サクラじゃなかった。その安藤サクラ本人は犬養毅内閣総理大臣を曽祖父に持ち、奥田瑛二を父に持つ、血筋が日本人として最強クラスの女性らしい。そんな女はたとい優雅に生きれても、人間として優雅な心持ちで生きていられるはずがない。実生活で世の中すべてを憎むように育ってもなんらおかしくない血筋である。少なくとも私が彼女ならそうなる。
 グレにグレ切って、就労経験も恋愛経験もない立派な無職として小汚いボサボサの茶髪を掻き毟りながら親の脛をかじり、そうしてブクブクと太り上がった32歳の安藤サクラは、いよいよ実家を追い出され、仕方なく行きつけのコンビニでアルバイトをすることなる。
 その行き帰りで通り過ぎるボクシングジム。そこには新井浩文がいて、やがて彼女は彼と知り合うことになり、すったもんだがあって安藤サクラは一人でボクシングを始めることになるのだが、という話。
 蒼井優が主演でもおかしくない話だが、全編に渋いブルースが流れ、作風はタランティーノかロドリゲスのごとくハードボイルド。そうして絶対に蒼井優がやれないことを安藤サクラがやる。全部やる。しかもそれを安藤サクラも知っていてやる。最高の汚れ役である。
 序盤の時点で美しく生まれなかった人間のハートをがっちり掴み、元無職や精神的無職のハートをがっちり掴み、中盤で初恋の破れたすべての者のハートまでをもがっちり掴み、それ以降、百円のようにどうしようもない人生をひっくり返そうとする、王子様なんていない、血まみれのシンデレラストーリーが怒涛のごとく始まる。失恋映画であり青春映画でもある。終盤は涙無しには見れない。安藤サクラのことが、この映画が終わる頃にはどんな男も大好きになっているだろう。
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